夏休みの宿題を終わらせるために一冊の本を読んで感じたこと。

沖縄-大宜味村-根路銘海岸-1010 Diary

読書は子供の頃から大嫌い。活字を見ているとすぐに眠くなってしまって画像や映像が動かないものを見て何も感じられないだろうと、つい最近まで思ってた。夏休みの宿題として本を読むことも大嫌いだった。だから小学校、中学校と夏休みの宿題として読書感想文があったが、自分は毎回本を読んでいない。あざとく、「まえがき」「あとがき」を本の中から見つけては、ニュアンスを少し変えて書き写し提出していた。それで先生を騙せていたかは不明だけど、特に何も言われることはなかった。先生も一クラス40人もいる生徒たちの読書感想文を読むほど暇ではなかったのではないかなと思う。

今年に入り自分は「2020年私の4つの目標」というものを立てていた。

  1. 沖縄へ旅行にいく
  2. この先の人生について考える
  3. 他のメディアに露出してみる
  4. 年間3冊の本を読む

順番は優先順位となっている。この記事を書いている時点で沖縄旅行には2回も行っていて、アイキャッチ画像はその時のもの。優先順位がもっとも低い、「年間3冊の本を読む」のうちの一冊をコロナ外出自粛期間を利用して、どうにかこうにか読み終わった。読書評論家でもないし、趣味にもしていない自分はここに感想を書く必要もないのだけど、なぜか書きたくなった。読み終えた本のタイトルは

「四月になれば彼女は」著 : 川村元気

この本を手に取ったのは外出自粛真っただ中、ある地下街の小さな本屋で出会った。大きなビルに入っている書店は営業を中止していて、いくつか探したのだけど、営業していたのはこの店だけだった。amazonなどの通販で買うという方法もあったのだけど、あまり本に馴染みのない自分は実際に手に取って選びたかった。

この本を選んだ理由は題名というより、本の表紙に惹かれた。そこには淡い水色の空に大きな白い入道雲。鏡面のようにその風景が水たまりに映り、その中を一人の女性が歩いているように見える。その風景は本を読み進めていくうちにボリビアのウユニ湖だということが判明した。

読みはじめて、題名や表紙の印象に近い、パステルカラーのような文章が続いた。学生生活のことや、好きなものに打ち込む姿。ハチャメチャだけど時折、遠くをぼんやり見つめているような・・・そんな感じもする。何か不安定で、一瞬バランスを崩しただけで全てが消えてしまうような、そんな情景がたびたび頭に浮かんだ。

一気に読み進めたくなるような惹きつける文章はそこには無く、本当に時間が空いてしまって、動画をみたりSNSに飽きてしまった時や電車での移動の時だけ読んでいた。しかし、だんだんと本を手に取る回数と時間は増えていき、気が付くと、電車に乗るような暇な時間はできないかなぁと考えるようになってしまった。移動時間では数ページ読み進めることしかできないのに、それでもその時間が待ち遠しくなっていた。

過去・未来・主人公・登場人物。それぞれが入り乱れて、いつの、だれの話なのか見失うことも多々あったが、面倒なので深く考えることは止めて読み進めた。読み終えた時、物語は想像の範囲内で、それを超えるような展開はそこには無かった。その程度の話の内容だけであればここに、あの大嫌いな「読書感想文」を書くことは無かったと思う。

では、なぜ感想を書きたくなったのかというと、文章のところどころに深く胸に突き刺さるような言葉がちりばめられていたから。その言葉に、共感や反発、あきらめや衝動といった感情を揺さぶられるような思いを感じたから。至極当然な言葉ばかりだけど、自分の経験や考えによってその言葉は様々に変化した。もしかすると、違う時期に再度読み返したらまた違う感情が現れるのかも知れない。人と人がなぜ時を追うごとに離れてしまうのか?分かりきった答えがこの本の中に書いてあり、登場人物のセリフとして出てくる。それは自分の奥底に、あえて伏せて普段は見えないようにしている感情を引きずり出される感覚だった。

あとがきに書いてあったが、誰もがこの本を読むべきではないと思う。幸せにあふれていると感じている人やこの先もそういう日々が続くと思っている人には良くない本だと思うが、人との付き合いのおいて、「もう 大怪我をしたくない」と思う人は、この本を読めば予防することができる。分かりきったことをもう一度確認することで、怪我はするけど、大怪我はしなくなると思う。この本を読んで自分なりに考えて出した答えは、

「幸せなこの関係は永遠に続くと思って夢を描き、現実は今日この関係が終わってしまうかもしれないと思い接する。」

これが本当に大事なことではないかなと感じた。

この歳になってやっと夏休みの宿題を終わらせることができた。読書感想文は上手く書けただろうか?当時の先生に会えるのであれば添削してもらいたい気持ちでいっぱいになってる。一冊の本を読み終わって、毎日とか誰かに強制されるのは嫌だけど読書もたまにはいいかなと思った。また機会があったら読んでみよう。そして感動や気づきがあったらここに読書感想文を書こうと思う。

Photo

場所 : 沖縄県大宜味村
被写体 : 根路銘海岸
撮影ポイント :

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